ヘリコバクターピロリ胃炎|新宿しまだ内科クリニック 公式コラム

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ヘリコバクターピロリ胃炎

疾患別コラム:ヘリコバクターピロリ胃炎

ヘリコバクターピロリ胃炎とは

俗にピロリ菌と呼ばれている細菌です。Helicobacter Pyloriという学名です。
経口的に感染したピロリ菌により胃粘膜の慢性的な炎症が生じ、萎縮性胃炎とよばれています。
胃の出口側からその変化が始まり、時間をかけて口側粘膜に炎症変化が広がります。
マーシャル先生という方が自分の胃にピロリ菌を感染させて慢性胃炎が生じることを証明しノーベル賞を受賞されたという経緯がございます。

日本では中高年層では保菌率が2~3人にひとりくらいの割合で陽性です。近年の若年層において、特には10代での感染率は数%まで低下しています。これは、日本の衛生環境が向上したことや、井戸水の使用が少なくなっていること、口移しなどの食事習慣の減少により親から子への感染率も低下したためと考えられています。

各世代のピロリ感染の状況についてはこちらのコラムもぜひお読みください
https://naika.clinic/blog/世代別のピロリ菌の感染率について/

ピロリ菌は慢性的な胃炎の原因のほかに、胃・十二指腸潰瘍の原因や胃MALTリンパ腫との関連が知られています。さらには、日本人の胃癌と密接すぎる関係があります。日本人の胃癌の方々のなんと99 %以上がピロリ菌に感染中あるいは感染後(除菌後)であります。
胃の他にも特殊な血液疾患などにも関与が指摘されている細菌です。

 

症状
特異的な症状はありません。このため感染していても、そのことに気づくことは難しいです。
しかしながら一部の方には胃部の不快感を呈することがあり、その結果検査をすることで感染がわかることがあります。

必要な検査
胃カメラ:
胃粘膜の性状を観察することで感染有無を疑うことができます。
疑われる際には胃カメラ検査時に胃粘膜の一部を採取し培養検査に提出する、あるいは試薬と反応させる検査を行い感染の有無を調べることができます。
採取できない場合は血液検査による抗体価測定、呼気テスト、便中抗原検査などで感染の有無を調べます。

なお、胃カメラや上部消化管造影(バリウム)検査で萎縮性胃炎や胃十二指腸潰瘍(瘢痕)などの病気が疑われる際には上記検査が保険診療で行えますが、そのステップをふまずにピロリ菌の検査をいきなり検査をすることは保険診療上は行えない法制になっています。その際は自費検査(検査にはより異なりますが数千円)で行わうことはできます。

治療方針
内服薬3種類を用いての除菌治療を行います。
抗菌薬2剤と制酸剤1剤の3種類を1日2回朝夕に1週間内服します。近年の治療では初回治療で85-90%の方が除菌成功となります。不成功であった場合は再度薬の組み合わせをかえてもう一度治療を行えます。これにより全体の95%は除菌できます。約5%の方が除菌成功できずになりますが医療保険で3次除菌治療は認められておらず現時点では経過観察となります。

除菌治療の詳しい内容についてはこちらのコラムもぜひお読みください
https://naika.clinic/blog/ピロリ菌の除菌治療について/


抗菌薬2種類のうち1種類がペニシリンの仲間の薬になります。ペニシリンアレルギーの方は除菌治療を行うことが現時点では難しいです。除菌治療は行えるにこしたことはないのですが、アレルギー反応を起こし得るリスクと比較した場合は除菌治療はそれを上回ることができません。大切なことは1-2年内の定期的な胃カメラ検査です。

除菌治療が成功しても、除菌後の胃癌は生じます。
1年〜2年、できれば1年半に1回は胃カメラを行ってください。万が一、胃癌ができてしまっても、その期間内で検査を繰り返していれば、ほぼ早期で発見できます。早期発見できれば内視鏡手術(内視鏡的粘膜下層剥離術:ESD)で根治を目指し、胃は温存できます。また、臓器温存だけでなく身体への侵襲もかなり軽減できます。もし見つかった際に進行していれば、根治できても胃を半分以上失うなどを伴うことになります。大切なことは定期的な胃カメラ検査であることを強調させて頂きます。

こちらのコラムもぜひ確認ください 
https://naika.clinic/blog/ピロリ菌除菌に大切なこと/

「ヘリコバクターピロリ胃炎」について、
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新宿しまだ内科クリニック院長
高林英日己