大腸癌で死なないために 〜オバマケアって覚えてます?〜|新宿しまだ内科クリニック 公式コラム

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消化器がん

大腸癌で死なないために 〜オバマケアって覚えてます?〜

『オバマケア』による大腸がん死亡者数減少効果

今やトランプ大統領の影響ですっかり影が薄くなった様にも思われますが、『オバマケア』という言葉をご存知でしょうか?

アメリカと日本の大腸がん死亡者数・死亡率の変化

アメリカでは大腸がんの死亡者数が頭打ちとなり減少に推移しています。
一方、日本では戦後から顕著な上昇傾向があります。

また年齢調整死亡率ではアメリカは1960年代から近年まで低下傾向にあり、日本では2000年から緩やかな減少を傾向を辿るようになりました。

オバマケアによる大腸カメラ受診者の増加と、clean colonという発想。

『オバマケア』とはバラク・オバマ前大統領による医療改革の俗称です。

『オバマケア』の1例として、アメリカでは低所得者層であっても45歳から75歳であれば大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)を10年に1回は無料で受けられる機会があります。アメリカは検診費用が高額で、大腸カメラは最低でも日本円換算で10万円以上かかります。それが無料で受けられるため、当時の反響はかなりのものだった考えられます。

なぜ反響になったかと言うと、アメリカは日本と異なり全ての国民が医療保険で医療を受けられるシステム(国民皆保険制度)がありません。アメリカは医療保険に加入しているか否か、もっと言えば所得があるか否かで受けられる医療が変わります
アメリカで医療保険に入っていない方が大腸カメラを受けた場合、全額が自費診療となります。アメリカでは鎮静薬使用下での内視鏡検査が日常なため、検査費用だけではなく薬品の費用などを含めるとかなりの高額負担になります。

無料で大腸カメラを行えるというシステムによって多くの国民が大腸カメラを受けることができ、前がん病変(がんの元となる病気)であるポリープ(がん化するのは腺腫など一部のポリープですが)をアメリカでは極力切除して何もない大腸、いわゆるclean colonを目指す方針をとりました。この方針の結果、アメリカでの大腸がん年齢調整死亡率は低下し、死亡者数も日本よりも下回る成果を上げました。

オバマケアの無い日本ではどうすれば良いか

残念ながら日本にはオバマケアの様な無料で大腸カメラを受けるシステムはありません。衆議院選挙が話題となっていますが、現状では国力的にもオバマケアの様な国策をとることは難しいのではないかと考えます。

でも、大丈夫です。日本には比較的低下価格で毎年受けられる大腸がん検診国民皆保険制度があります。

以前にコラムで掲載した「大腸がん検診を受けていますか?」で、大腸がんの診断契機と生存率の差について話しましたが再度確認して頂きたくここにも記事を載せます。

日本における大腸がんの診断契機と生存率の差

日本での大腸がん検診とは内視鏡検査では無く、検便検査での便潜血検査のことを指します。便潜血検査は市町村自治体のがん検診(大腸は40歳以上が対象)・職場の検診・人間ドックで受ける事ができます。

検診としては自治体検診や企業検診では無料〜1000円(500円前後が多い様です)、自費診療では数千円程度の比較的安価となっています。

また、血便・腹痛などの症状がある場合は健康保険が適用されます。

便を提出するだけで済み、内視鏡検査よりも費用・時間や身体的な負担の点で簡便に検査ができます。このため、1年ごとの便潜血検査が大腸がん検診として推奨されています。

また、毎年便潜血検査を受けることで大腸がんによる5年生存率を高値維持する事が可能とされています。少し古いデータで恐縮ですが①〜④の契機に分けて報告された大腸癌診断の契機別5年相対生存率を供覧させて下さい。

①市町村自治体の大腸がん検診で便潜血検査陽性となり内視鏡検査を受ける場合
②職場の検診・人間ドックなどで便潜血検査陽性となり内視鏡検査を受ける場合
③他の疾患で通院中の担当医師から大腸カメラの必要性を指摘され検査を受ける場合
④ご自身で何らかの症状を自覚。病院に受診し検査を受ける場合

無症状でありながらも便潜血検査陽性を契機に大腸カメラを受けた、あるいは人間ドックで大腸カメラ検査を受けてみた方々では大腸がんと診断された場合でも早期で見つかる可能性が高くなるため5年後の相対生存率は93%以上、がん検診においては98%以上、つまり多くの方々が治療による根治を得ることができるわけです。

一方、症状を自覚して医療機関で大腸カメラを行い大腸がんと診断された方々では5年生存率が60%を下回る結果となっています。

やや煩雑な言い方ではありますが「自覚症状が出てしまってからでは、やや手遅れ」と言う事ができ、無症状であっても大腸がんの有無を評価する事が重要です。

日本における大腸がん検診の現状
新宿区では年間35人が大腸がんを放置している可能性あり!?

G7先進国主要7カ国の中で日本は大腸がん死亡者数および大腸がん年齢調整死亡率が最も高い国です。
この背景には①大腸がん検診(便潜血検査)の受診率が40%前後と低いこと、②便潜血検査陽性であっても大腸カメラを受けないなどの要因があります。

大腸がん検診受診率は約 40%、 便潜血検査陽性はそのうちの 5〜7%、このうち大腸カメラを受ける方は 60〜70%、大腸カメラで大腸がん診断に至る方2〜3% となっています。

当クリニックが所在する新宿区を例に解説をします。

新宿区の40歳から79歳までの人口は、最新の住民基本台帳(令和7年12月1日現在)に基づくと約16万4千人です。前述したデータに当て嵌めてみます。
・大腸がん検診受診数(予測値)       65,600人
・便潜血検査陽性数(予測値)         3,936人
・陽性で大腸カメラ受診者数(予測値)     2,558人
・大腸カメラで癌と診断される人数(予測値)     64人

上記より、便潜血検査陽性であっても大腸カメラを受けていない人数は1,378人となります。この方々が仮に大腸カメラを受けがんが発見される確率が2〜3%なので、計算上は35人くらいの方が大腸がんを放置している事となります。

以下は少し乱暴な文章ではあり、1つの仮説として参考にして下さい。

新宿区民は便潜血検査陽性者3,936人のうち35人が大腸がんを放置している可能性がある。この方々の5年後の状況をデータを元に考えてみます。

仮にこのまま大腸カメラを受けずに過してしまい何らかの自覚症状を契機に医療機関を受診し大腸がんと診断された場合、大腸がん5年相対生存率は59.5%のため20人は生きていることになり、残念ながら便潜血検査陽性なのに大腸カメラを受けなかった35人のうち15人は5年以内に命を落とす可能性があります。
※上記は大腸がんが放置された場合のデータ上の話であり、便潜血検査陽性かつ大腸カメラ未検査の方の全員が同じ末路をたどるという意味では有りません。

一方、がん検診を契機に大腸がんの診断に至った方々は5年相対生存率が98.6%のため、新宿区では便潜血検査陽性で大腸カメラを受けた方の2522人の方々が5年間生きていることになります。

症状がある時は積極的に、便潜血検査陽性の時は可及的速やかに大腸カメラ受ける事をお勧めします。また万が一、大腸がんと診断された場合は然るべき治療を受けましょう。

大腸がんについてご不安な方、
大腸がん検診の便鮮血検査で陽性になった方、
大腸カメラのご相談をされたい方、ぜひ当クリニックへご相談ください。

下記webまたはお電話03-6380-1905から受診のご予約ができます。
https://ssc8.doctorqube.com/shinjuku-shimada-naika/

新宿しまだ内科クリニック 内田 隆行

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