逆流性食道炎その② 〜病気と逆流のメカニズム〜|新宿しまだ内科クリニック 公式コラム
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消化器症状
消化器症状
逆流性食道炎とは、胃液や胃液と混ざった食べ物が食道に逆流することで、食道の粘膜が傷つき炎症が起こる病気です。胃液に含まれる胃酸はp H2前後の強い酸であり、食道の粘膜は胃酸に弱く、胃内容物の逆流によって食道の表面(粘膜面)に炎症を起こしやすくなります。
元来、食道には様々な逆流防止機能が備わっていますが、この機能がうまく働かなくなると胃内容物が食道へ逆流します。この状態を胃食道逆流症(Gastro-esophageal Reflux Disease; GERD )と呼びます。GERDは逆流性食道炎の原因となる病気です。
逆流防止機能の1例として、食道胃接合部(食道と胃の境目)にある下部食道括約筋(Lower Esophageal Sphincter:LES)があります。食べ物を飲み込むとLESは緊張がとれ緩み、食べ物を食道から胃に送り込みます。また、胃で食べ物が消化される時には、LESは締まり胃内容物が食道に逆流しないようにしています。また食べ過ぎで胃が膨らむと、減圧のためにゲップを出す目的でLESが緩みます。
LESが緩んだ状態が長く続くと胃の内容物が食道に逆流し、GERDを引き起こします。
LESが緩み続ける状態の原因の1つとして食道裂孔ヘルニアがあります。
食道裂孔とは横隔膜にあいている穴の1つで、みぞおちの背中側に位置します。身体は横隔膜という壁によって胸部と腹部に隔てられていて、食道裂孔は食道がこの横隔膜の壁を通るトンネルになっています。食道は横隔食道靭帯と呼ばれる硬い膜状の靱帯によって食道裂孔にしっかりと固定されていますが、加齢や肥満などによって靭帯がゆるんでしまうと、胃が横隔膜よりも上に滑り上がってしまい、この状態を食道裂孔ヘルニアと言います。
食道裂孔ヘルニアによって胃が上(胸部側)に移動し変形をすると胃食道逆流症(GERD)や逆流性食道炎が起こしやすくなります。
胃上部にはヒス角と呼ばれる角度がついており、健常者ではここが鋭角になっています。
食事をすると胃が膨らみヒス角を押しつけるので、食道胃接合部(食道と胃の境界)が逆流防止弁の機能を果たします。一方で、食道裂孔ヘルニアによる胃の変形がある方はこの構造的な逆流防止弁が壊れていて、食事をして胃がいくら膨らんでも逆流防止弁が機能しないため食べ物が食道に逆流する原因となります。
以上が逆流性食道炎と逆流のメカニズムとなりますが、長くてすみません。極力一般的な言葉でしかも、専門性を持って説明したかったので難解な文章となりました。
近々、「逆流性食道炎その②要約版」をコラムで投稿するのでお待ちください。
スケッチも載せないとLESやヒス角の説明が上手く出来無いことに気付きました。。。